2024年度を迎えてから約2ヶ月経った今、早期退職の募集を開始する有名企業が相次いでいます。
直近1週間だけでもオムロンや資生堂、ゲーム事業を手がけるソニーグループ子会社など、大手有名企業の大規模な人員削減開始が発表されています。
そこで今回は、
- なぜ早期退職を募集する企業が増加傾向にあるのか?
- 早期退職を実施した大手有名企業はどのくらいあったのか?
について解説していきます。
今年に入り、早期退職募集が相次いだその理由とは?
2024年度の早期退職募集増加の背景には、主に2つの理由が隠されていました。
1. 製造業などの低迷により、企業の業績悪化が増加したため
まず、1つ目の理由は、
製造業を中心とした需要の不振が、企業の業績悪化を招いたためです。
2024年2月の景気予測DIでは、10業界中6業界、51業種中32業種で景気が悪化したと発表されました。
その悪化の要因として、
- 物価高騰にともなう消費者の節約志向の高まり
- 製造業の停滞
が挙げられます。
特に、製造業は景気が3ヶ月連続で悪化するなど、大きな不振にあえいでいます。
この悪化は、自動車の生産・出荷停止などが大きく響いたとされています。
以上の背景により、業績悪化する企業が増え、人員削減に追い込まれたことが今回の早期退職募集に歯車をかけた要因の1つになっているとされています。
2.「黒字リストラ」を実施する企業が増えたため
2つ目の理由は、
業績好調時に行なわれる、「黒字リストラ」を実施する企業が増えたためです。
今回の実施の背景には、
「コロナ禍が収束し、構造改革の機運が再び高まってきた」ことが挙げられます。
また、「黒字リストラ」は、黒字の段階で事業構造を見直し、次の成長に向け体制を整えることにその目的があります。
そもそもリストラの実施には、退職者の転職支援や退職金など、大きな費用がかかります。
そのため、企業の経営体力があるうちに行うのが良いとされています。
ですが、その一方で、人事ジャーナリストの溝上憲文氏は黒字リストラに対し、以下のように述べています。
企業は賃上げ圧力を受け、これから人件費が増えるので、不採算部門の処理を早めています。しかし、政府のリスキリング事業は始まったばかりで、まだインフラが整っていない。リストラ着手が早すぎるように思います。
上場企業の早期・希望退職募集が2カ月で昨年超え…「黒字のうちにリストラ」が顕著に(日刊ゲンダイDIGITAL) – Yahoo!ニュース
と、このように発言し、注意が必要だという見方をする声も上がっています。
3. DXやグローバル化に対応するべく、外部からの人材を獲得するため
最後3つ目は、
トレンドのDXやグローバル化の流れに対応するべく、外部からの人材を獲得するためです。
現在、終身雇用制度を転換し、グローバルな成長や新規事業に向けて人的資本の見直しを図る企業が増えています。
そこで、その人的資源の見直しの策として、
中途採用の拡大を図る企業が増加しています。
つまり、中途採用の枠を拡大し、外部から優秀な人材を獲得することでDXやグローバル化に対応していこうということになります。
上記の背景より、人材の転換を図るために、早期退職の募集が増加したとされています。
続いて↓
2024年度早期退職を募集した主な企業一覧
続いて、2024年度に早期退職募集を開始した5社を紹介していきます。
1. 資生堂ジャパン (資生堂子会社)
資生堂の子会社である「資生堂ジャパン」は、収益改善に向けた構造改革として1500人の人員削減を発表しました。
今回の募集は、資生堂japanに在籍する45歳以上かつ勤続20年以上の社員が対象になっています。
2. オムロン
オムロンは、中国の工場などで使われる主力の制御機器の事業で業績悪化を受け、その改善に向けた構造改革として、国内外で2000人規模の人員削減を発表しました。
対象は、勤続年数が3年以上かつ40歳以上の正社員。
また、その内訳は、国内では1000人、海外では1000人程度の規模で実施するとされています。
3. ワコールホールディングス
ワコールは、1946年の創業以来初となる最終赤字を受け、構造改革として150人程度の早期退職を募集しました。
今回の募集では、150人程度の点員に対し、215人が応募する結果となりました。
4. イトーヨーカ堂 (セブン&アイ・ホールディングス傘下)
イトーヨーカ堂は、コストの削減の一環として、早期退職の募集を開始させました。
また、当社は構造改革の一環として、2024年夏までに本社を東京・四ツ谷から同・大森に移転する計画も立てています。
今回の募集は、45歳以上の正社員が対象になっています。
5.ソニー・インタラクティブエンターテイメント(ソニーグループ傘下)
ソニー・インタラクティブエンターテイメントは、人件費を削減し収益の改善を目指すため、世界で約900人の人員削減を発表しました。
当社には、約1900人の日本人が所属しております。
今回の募集は、現在の社員全体の8%のうちの、日本、欧米、アジアなどの社員が対象となっています。
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