近年、東京都内で特定外来生物の「アライグマ」による被害が増加していることが明らかになりました。
都内でアライグマの農作物への被害が初めて確認されたのは、2003年度。
それ以降、06年度に一時被害が急増しましたが、その後はいったん落ち着いていました。
しかし、15年度以降に再び増加し、昨年度は農作物への被害総額が過去最大の851万円にまで昇りました。
では、なぜここまで都内でアライグマの被害が広がり、深刻になったのでしょうか?
今回は、その5つの原因について解説していきます。
① 野生化したアライグマの増加
原因1つ目に挙げられるのは、
野生化したアライグマの増加です。
その増加は、昨年度の都内におけるアライグマの捕獲数に現れています。
約10年前の2005年度に捕獲された数は36匹でしたが、
昨年度は、その約35倍となる、1282匹にまで増加しました。
では、なぜここまで野生化してしまったアライグマが増えたのか?
その理由は、元々ペットとして飼われていたものが、捨てられたり逃げたりしたことが原因で、野生化してしまったためです。
アライグマは、北アメリカ大陸原産の中型哺乳類であり、もともと日本に生息していなかった「外来生物」でした。
ですが、1970年代にヒットした、アライグマが主人公のアニメ「あらいぐまラスカル」の影響を受け、ペットや動物園での展示のために日本に持ち込まれるようになりました。
しかし、アライグマの「力の強さ」や「気性の荒さ」が原因で、ペットとして飼いきれなくなる人が続出し、捨てられるものや逃げ出したりするアライグマが街中に急増してしまいました。
現在は、2005年に制定された外来生物法で、アライグマの無断での輸入や販売・飼育は禁じられています。
この野外に放たれたアライグマが、次第に野生化し、農作物に影響を与えるようになったと考えられています。
② 繁殖力が旺盛であること
原因2つ目として挙げられるのが、
アライグマの繁殖力が旺盛であることです。
アライグマは非常に繁殖力が強く、死ぬまで子どもを産み続ける動物です。
その繁殖力の強さについて、北海道大学大学院教授の池田透先生は下記のように述べています。
興味深いデータが有り、アライグマ100頭を何もせず放置しておくとどうなるかというもので、何も対策をせず放置しておくと6年後には1000頭、10年後には5000頭、12年後には10000頭…と増えていきます。
https://progrant.co.jp/news/24939/
と、このように放っておいても増やせる、驚異的な繁殖力を持つ動物であることがわかります。
また、池田先生によりますと、
しかも、恐るべきなのはその繁殖力は死ぬまで下がることがないという所です。流産や捕獲により授乳せずに子どもを失うと、再び発情します。また、1歳前死亡率は35~48%程度と低く、産まれた子どもが大半生き残って繁殖活動をするのです。
https://progrant.co.jp/news/24939/
とも述べており、こうした繁殖力が旺盛であることが、今回の被害拡大につながっているのだと考えられます。
③ 日本に天敵がいない
理由3つ目に挙げられるのが、
日本に天敵がいないことです。
日本において、アライグマの天敵とされる動物は生息していないとされています。
アライグマの天敵とされているのは、オオカミ、ワニ、アメリカワシミミズク、ボブキャットといった肉食動物達です。
しかし、そういった肉食動物が日本に生息していないが故に、動物の生態系のバランスがうまく取れず、天敵がいないアライグマが好き勝手に行動できるようになってしまったことが原因と考えられています。
④ 雑食で何でも食べることができる
原因4つ目に挙げられるのが、
雑食で何でも食べることができることです。
アライグマは、昆虫類や小型哺乳類、鳥類などの動物質から、果実、トウモロコシをはじめとした農作物などの植物質まで、ジャンル問わず幅広く食べることができます。
また、一番美味しい時期の旬なものを好んで食べる傾向にあり、
ある農家さんは「食べ頃はアライグマに聞いてくれ」と嘆くほど、頭を悩ましています。
⑤ どこでも暮らしていける適応力の高さ
最後、原因5つ目に挙げられるのが、
どこでも暮らしていける適応力の高さです。
アライグマは環境適応力が非常に高く、耐寒性を持つほか、森林地帯や水辺、農地や住宅地など、どんな場所でも生息し、生き延びていけることが可能な動物です。
こうした適応力の高さが、幅広い地域に被害を与えている原因の1つであると考えられます。
まとめ
アライグマ被害が都内で深刻な原因は、
- 野生化したアライグマが増加
- 繁殖力が旺盛であること
- 日本に天敵がいない
- 雑食で何でも食べることができる
- どこでも暮らしていける適応力の高さ
これらの5つが挙げられます。
今回はここまでで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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