今月12日、住友商事は、採用面接で学生が面接官を評価する制度を導入することを明らかにしました。
実施は、2025年4月に入社する学生の採用面接より導入され、面接の終了後に学生が面接官を5段階で評価する完全匿名のアンケートを実施します。
また、回答内容は合否に影響しないとも公言しています。
では、なぜこのような制度を始めたのか?
その理由やデメリットについて解説していきます。
今回の新制度の導入理由について
1.面接官の質を高めるため
導入した理由1つ目は、面接官の質を高めるためを挙げます。
学生にとって、面接官は、その企業の代表であり顔でもある存在です。
そういった面接官の「態度」や「印象」は、学生にとって、その後の入社を決める大きな判断材料にもなります。
ですので、いくら学生と社会人とで立場が違えど、横柄な態度を示すことは企業にとって損失でしかありません。
ですので、そういった損失を防ぐために、今回の制度は、自身の対応を客観的に見つめ直し、面接官の質を上げていける、企業にとっても学生にとっても有益なものである点から、導入されたと考えられます。
2.さらなる優秀な人材の呼び込みのため
導入された理由2つ目は、さらなる優秀な人材を呼び込むためを挙げます。
今回の制度の導入により面接官の質が高まり、より優秀な人材に入りたいと思わせられることが期待されています。
続いて↓
今回の新制度導入のデメリット
1.学生の評価を気にするあまり、面接の質が低下しかねない
デメリット1つ目は、
学生の評価を気にするあまり、面接の質が低下しかねない可能性があることです。
学生の評価を気にし、差し障りのないことしか言えなくなる面接官が増えることも予想されます。
こうした差し障りのないことしか言えなくなると、
- あまり業務のネガティブな実態などを話せず、双方のミスマッチを起こしかねない
- 学生の持ってる能力を探りきれず、優秀な人材を逃す恐れがある
といった、デメリットが生じることが予想されます。
2.評価で合否に多少の忖度がでないか、恐れる学生の出現
デメリット2つ目は、
評価で合否に多少の忖度がでないか、恐れる学生が現れることです。
当社は、評価の内容で合否に影響はないと公言していましたが、
ただ、このアンケートは結果が出る前に行われるものなのか、それとも結果が出たあとに行われるものなのかについての詳細は何も公言されていません。
もし仮に、結果が出る前に行なわれたとなれば、合否に多少の忖度が生じると、恐れてしまう学生が現れる可能性があります。
また、メンタルの不調をきたす学生もでてくることも考えられます。
3.学生の見極めに時に必要な、鋭い質問ができない可能性がある
デメリット3つ目は、
学生の見極めに時に必要な、鋭い質問ができない可能性があることです。
では、なぜ、時に鋭い質問が必要になるのか。
それは、ビジネスの場において、キツイ場面、あるいは威圧的な場面下で、「耐えられる人材」かをも見なくてはならないこともあるからです。
もちろん、その必要性は業界によって異なるものではありますが、
今回この制度を実施した住友商事のような「商社業界」では、この適性が大きく問われることになります。
理由は、商社ビジネスの世界では、世界各国のタイプの異なる外国人を相手に、どう案件を取って来れるかが問われるからです。
こうした、キツイ場面や威圧的な場面下が多いとされる商社業界。
今回の制度で、こうした人材の見極めを適切に行えず、ミスマッチが生じないかが懸念されています。
4.学生の評価で、社内での面接官の評価にバイアスがかかる恐れがある
デメリット4つ目は、
学生の評価で、社内での面接官の評価にバイアスがかかる恐れがあることです。
今回の制度は、社会経験を積んでいない学生が、社会経験を積んだ面接官を評価する形になります。
そこで懸念されるのが、学生が面接官を客観的・中立的に評価できず、面接官の評価にバイアスがかかってしまう恐れがある点です。
もちろん、社内側もあくまで「短時間しか関わっていない学生の意見」との見方をすると思いますが、
多少なりとも、学生の評価でその面接官に対するプラスorマイナスかのバイアスがかかる恐れがあります。
まとめ
今回の制度が導入された理由は、
- 面接官の質を高め、イメージアップに繋げるため
- より優秀な人材を獲得するため
また、この制度のデメリットには、
- 学生の評価を気にするあまり、面接の質が低下する恐れがある
- 評価の内容で、合否に多少の忖度がでないか恐れる学生出現への懸念
- 鋭い質問ができず、学生の見極めが難しくなる恐れがある
- 学生の評価で、社内でその面接官にバイアスがかかる恐れがある
今回はここまでになります。
最後までご覧いただきありがとうございました!
コメント